2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

アイロニカル

1 東京の気ぜわしくて空虚な感じに辟易して、「いつか地元に帰りたい」と言う人はけっこういるが、彼らに対して、私はきわめて悲観的な見方をしている。 同胞という意識は、海外に住んでいる親類が時々、土産やお祝いを持って訪ねるときなら素晴らしいことだ…

パラリンピックはアナーキー

パラリンピックを紹介するテレビを見た。南アフリカのピストリウスって義足の陸上選手がすごく速くて「ブレードランナー」と呼ばれているらしい。アナーキーな感じ。熱い。 アナーキーというのは大切な概念だ。阿部和重という小説家がエッセイのようなものを…

なんとなしに会う

高校の友人が、経営理論のワークショップのために神戸から来ていて、会った。 抽象概念とか固有名詞とか、あんまりつかわず話す練習になった。 しゃべっていたら文学フリマのことを思い出して、いちばん新しい出展者リストをひととおりながめた。 「筑波批評…

戦略サファリ

戦略サファリ―戦略マネジメント・ガイドブック (Best solution)作者: ヘンリーミンツバーグ,ジョセフランペル,ブルースアルストランド,Henry Mintzberg,Joseph Lampel,Bruce Ahlstrand,斎藤嘉則,奥沢朋美,木村充,山口あけも出版社/メーカー: 東洋経済新報社…

外部観察者

昔の友人と長話をした。 人々の振る舞いを論じるときには、記述的な論(xxである)と規範的な論(xxであるべき)があるね。って話が、個人的につよく印象にのこった。 外部観察者*1の論考は、記述的であることに徹するべきで、手前勝手に規範的な論をぶちあげて…

天国

倦怠 (河出文庫)作者: アルベルトモラヴィア,Alberto Moravia,河盛好蔵,脇功出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2000/09/01メディア: 文庫 クリック: 25回この商品を含むブログ (12件) を見る1 気分はまあまあなのだが、関心の焦点が今日もさだまらなかっ…

夢のカリフォルニア

僕は君たちに武器を配りたい作者: 瀧本哲史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/09/22メディア: 単行本購入: 17人 クリック: 841回この商品を含むブログ (108件) を見る1 日本のカリフォルニアみたいな町で人々を観察して、LA→上海→名古屋とわたった旧友と…

あずま歌

1 前近代の東国の農村って、おそろしい。今は亡き祖父について、本家の次男ときいていたが、実は三男で、ほんとは別に次男だった人がいたらしい。彼は10代のころ小さな諍いによって本家から勘当され、裸一貫で東京へ出て、運送業で身を立てたそうだ。 2 彼は…

おかんアート

1 夏休みをむかえた子供たちが公民館のワークショップに参加しているようだ。 http://d.hatena.ne.jp/kamoeartlove/ これについて、質が低すぎるって批判することは容易だ。 しかし、それは、なんとなく言いづらい。 なぜか? 人間のなす行為全般において、…

知的に暇

1 私がやってた中学校の部活が東海大会に出たそうだ。駅から見えるところに大きな旗がたっていて、グラウンドでは35度の炎天下まっ黒い男の子たちが走り回っていた。 2 地元の図書館の棚をさらりと見わたす。悪くないけど、コレクションとして、やや焦点を外…

「長い江戸時代」の頑健さ

1 うちの実家の外壁がきれいに塗り替えられていた。 話をきくと、そこの親方は30代前半だとか。 中卒から叩き上げで修行して、10年つとめあげて職人として一本立ちして、信頼を少しずつ積み重ねて、若くして何人もの若者をつかう親方になったそうだ。 「いつ…

必然と偶然

1 ここで生きていることと、よそで生きていることに何のちがいがあるだろう、って少し考えてみた。 2 私の実家のはす向かいのアッちゃんが自宅の蔵を改装して建築事務所をひらいた。 大岡山やオランダで修行を重ねてきたかいもあるのか、この町にはめずらし…

ユメユラ

どこまでいってもついてくる〜おおきなたいよう〜 いなか。 アメーバピグやる母親をみながらPUFFYをきく。 玄関先で40分ねばる飛び込み営業のリフォーム業者を追い出した。 草木がもうもうと生えている。畑には白い砂。 点々と家や工場や事務所のようなもの…

海辺の墓地

父方の祖父母の墓参りにいった。 母親が墓石に猫なで声で語りかけていた。 生前あんなにきらっていたくせに。*1 単なる偶然をロマンチックに語ろうとする態度が、日本人には広くみられる。 それは、怨霊とか言霊とかいうものと似ていて、一方、たとえばディ…

夢をかなえるという苦い話

モデルライフ

1 いなかへ行って親友と会うのだが、他に予定がない。 昔の友人と話そうか...スーパーの購買担当、介護士、市役所勤め、新米ママ、建築士、車の技術者、工場勤め...みんな職務を真っ当に果たして、充実した仕事人生を送っているのだろう。 つまり、誰がなに…

ことば

1海獣の子供 (5) (IKKI COMIX)作者: 五十嵐大介出版社/メーカー: 小学館発売日: 2012/07/30メディア: コミック購入: 2人 クリック: 184回この商品を含むブログ (32件) を見る 少女:こんな所で何をしてるの? 老人:僕は以前この場所で、とても大切な約束を…

ふたつの壁

生きていると、なーんも興味ねぇなぁ...って無気力になる状態がある。この状態をよくみていると、どうやら、人は誰でも「知力の壁」というものと「好奇心の壁」というものを抱えていることに気づく。 「知力の壁」というのは、たとえば難解な数学的概念が、…