#126 バルカンブラス

♪ Fanfare Ciocârlia - Asfalt Tango

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こういうものについて、やっと語れそうだ。
バルカンブラスというのは、『アンダーグラウンド』って映画で話題になった音楽ジャンル。だいたい西欧(パリ、ロンドン、ウィーン、ローマの四角形の内側)で話題になると、商業資本に食い尽くされて、界隈が急につまらなくなるから、今どうなってるか知らない。かつて『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』って映画で話題になったキューバ民謡も、ハバマではいつしか観光客相手のクラブ限定の音楽になったそうだ。

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バルカンブラスは、米国的な産業資本主義の走狗たるマーチングバンド(とチアガールとアメフト!)、欧州的なブルジョア権威主義と内向きな地元志向の象徴たる交響楽団(と名門音楽学校!)、これらとの差が、濁った音や不思議な音階とあわさって、なんだか妙なものを聴いたような気になる。

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こういう民俗的意匠をまとった西洋音楽の変わり種のことを、「モンド・ミュージック」と名付けて、80年代後半の浮わついた東京で先を争うように収集した人たちがいたが、そういう収集家って、いやらしい。

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あと、発想の枯れてきた音楽家が安易に民俗楽器にたよっちゃうの。こちらはいやらしくはないが、さみしい。