# 114 枠組と残余

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【 NO STOP CITY by Archizoom 】
https://www.google.co.jp/search?q=no+stop+city+archizoom&tbm=isch

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ちょっと前に、大企業の営業員のあいだで「ペルソナマーケティング」って手法がはやった。
ある商品を作るとき、それを売る相手について、「武蔵野市在住」「30歳」「女性」「化粧品の販売員」みたいに、いくつかのパラメータで限定して、その人の喜びそうなものを作るという手法。
需要者の擬人化。
人々の嗜好が細かくわかれた時代に、各人に合わせた商品を作ろうって狙いだが、ちょっと雑なようにも思う。
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もっと言うと、社会全体で「このポジションにいる典型的なキャラ」というペルソナを押しつけあっている感じがする。
ちょっと風変わりな教師や店員や医師やらが出てくると、ヒステリックに怒りだす人。
彼ら彼女らは、その場で見ず知らずの人と接触するときの労力を節約しているように思えるが、それは同時に、人々の独創性や面白味、意外性を毀損している。
これは地方都市の郊外の(表面的には)不気味なほど何もない感じにも通じる。
人を既存の枠にとじこめる作用は、古今東西おなじだろうといえばそうなのだが、枠からはみ出す残余もまた、いつの時代にもどこにでもあって、それは芸とか旅とか空想といったほうへ流れ出す。
今はそういう残余がニュータウンのどこかではなく、インターネットに浸み出している感じがする。