#109 Stairway to XX


1
仙台のアイドルちゃんの生態をまわりの連中がネットにかきこんだ話をよむと、中学の校内でエッチする場面があって、たいへん盛り上がって楽しそうだ。
もっかい中学に入ることがあったら是非やりたい。
ああいうの、やったことないけど見たことはある。
2
小学校からの同級生ミヤは、町に1軒だけあったレコード屋の娘だが、中学になってからアツタという隣の小学校からきた体が大きくてギターがうまくて気のいいやつとつきあって、勝手に2人で学校を抜け出したりして軽く鼻つまみ者になっていた。
普通の連中がラルクとかゆずとか言ってるとき、アツタだけレッドツェッペリンを聴いていたので、きっと2人で音楽の話をしていたんだろう。
雨の日に学校さぼって、暗くした彼氏の部屋にこもって、ロウソクの火をつけて、レコードをかけて。
こう書いているだけで熱気がむんむん伝わってくる。
3
で、中学3年の後半になると、誰がどのへんの高校にいくか、または中卒で就職するか、将来の社会階層がだいたい決まってくるので、教室のなかは、いずれ大きな町にでて出世していくやつと、地元にずっと残るやつの集団に分かれる。
進学組はまいにち勉強の話をして、地元組はまいにち趣味の話をする。
あっちの話し声がきこえないほど熱心にね。
4
そういう時期に、たまたま科学室へ忘れ物をとりにいったら、実験用の机の上にミヤが寝そべっていて、アツタがその上に乗っかっていた。
うわっ。これが社会科学かっ。
5
しばらくすると、アツタの好き勝手な態度が気に食わないと不良チームに目をつけられるようになった。
不良チームは、日雇い労働者の斡旋業をしている怖い人の息子(見た目は三木道三)が最大勢力を率いていて、細かいことは知らないがアツタは因縁つけられてボコボコにされたらしい。
集団でバットで叩かれて気絶したとか。顎の骨を折られたとか。
それっきりアツタもミヤも出てこなくなった。
とはいえ、うちの中学は、どこのクラスにいっても常に1割くらい空席があったので、最初そんなオオゴトとは思わなくて。あとで噂をきいてびっくりした。
6
しばらくしてミヤの父さんの店はなくなった。
かなりの借金があったとかで母さんがミヤを連れてどこか知らない町に出ていった。
母さんは東京のほうの人だったとか。
7
まぁ、こんなに激しいシーンがある人ばかりではないが、人生の分岐点はある日突然やってくる。