#105 県民健康管理調査
- 作者: 日野行介
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/09/21
- メディア: 新書
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5分で読んだので見落としがあるかも。
福島県で県民全員を対象にした健康状態の統計調査を県庁がはじめたが、彼らは隠しごとをして嘘をついているのではないか?という話。
著者は九大法学部を出て毎日新聞に入り、主に公害問題を取材しているジャーナリスト。
要約すると...
1. 国の研究所の応援をことわった
→ これは微妙。県庁としては意思決定を一元化したかったのだろう。しかし、統計調査には誤差がつきものだし、調査の設計・運用を失敗することもあるから、データは何種類もとったほうがよく、できれば相互に独立した調査を10個くらいやるほうがいい。ということは、統計学的に言えば、県庁の行動には合理性がない。あと、国の研究所には統計学者の日本代表みたいな人たちがいるので、彼らの知恵を借りたほうがいい。2. 会議が秘密裡に行われている
→ これも微妙。似たような会議のなかで、この会議だけが特に秘密裡に行われているかどうかは、この本だけではわからない。3. 安全基準(追加検査の基準)が恣意的・楽観的すぎる
→ これも微妙。そもそも低線量での被爆については、放射線と病気の因果関係がよくわからないので、安全基準が恣意的になるのは仕方ない。とはいえ、そういうときは、ふつう、悲観的な見込みも織り込んで、調査範囲を広くとっておくのだが。4. 議事録の一部を意図的に隠した
→ これはアウト。「国の研究所の応援をことわった」「安全基準が恣意的・楽観的すぎる」という、あとで問題になりそうな部分だけ隠してあるらしく、悪質。