#101 つくばセンタービル論争

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2年前に大塚英志という漫画原作者磯崎新という建築家に噛みついていた。
しばらく謎だったが、やっと事情がわかった。
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大塚は筑波の民俗学の出身で、ちょうど学生だったとき、筑波の新しい町の中心に磯崎の設計した大きな建物ができた。
磯崎は当時「戦後日本は何の理想もないゴミみたいな社会なので、それにふさわしいゴミみたいな建物を古代ローマからの引用で作ったぜ」みたいなことを方々で語っていた。
それに対して、大塚は「オッサンが1人で厭世観にひたるのは勝手だが、ゴミみたいな公共建築をつくっておまえの厭世観を外にまきちらすのはダメだろう」と怒ったのだった。
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で、それから磯崎のデザインをまねした建物が日本じゅうに建ったのは悲惨だった。
農協本部とか新興宗教の会館とか、市のコンサートホールとか、うちの田舎でもひどい外観だ。
さて、正しかったのは磯崎か大塚か。
戦後日本がゴミみたいな社会だったのか、それとも、磯崎の建物をまねした戦後日本の土木・建設業界がゴミみたいな産業だったのか、それは今も謎のままだ。