#68 天使ちゃんだった

1
こんど、天体観測でヒューストンへ行った人から宇宙のロマンについて話を聞くらしい。
人に呼ばれて出かけることになった。
宇宙にロマンがあるかは謎だが。(そもそも人がいない)
まあヒューストンで天体観測は、ニューヨークで株取引とか、ボルチモアで人体実験とか、パロアルトで人脈づくりとか、ロンドンで途上国開発とか、サンフランシスコでアーバンデザインとか、そういうのよりマシか。
傲慢ではないからね。

2
そういうのと比較するとバカらしいが、ニューヨークで夜遊びとか、ラスベガスで夜遊びとか、ロサンゼルスでロデオドライブとか、フロリダで海水浴とか、そっちのほうがいい。
生きてるあいだに、女遊びのために木星へいくような時代が来るかな?
そこまでいくと桑名の焼きはまぐりだ。まったくロマンがないぜ!

3
昔から、小田実椎名誠沢木耕太郎の辺境旅日記のようなものが好きで、素人の旅行記をネット上で少しずつ集めているけど、世界一周とかあんまりハードな旅をした人は、結局メシとカネと暴力沙汰の話だけになってしまうのは不思議。
なぜだろう?
廃墟探検とか心霊スポットとかホラー小説とか根本敬とか都築響一とか『八画文化会館』みたいなやつを面白いと思うのだが、こういうトホホ旅には向いている場所と向いていない場所がある。
あまりにも廃れすぎた場所はかなわん。
住民のほとんどがエイズ患者でぐったりしているジンバブエの村や、幼児売春宿から助けられた人たちが集うネパールの村、日常のつまらなさを輝きに変えてくれるアルカイダの訓練所。
このような場所は、おれにはどうにもならん。
結局、病院やら学校やら裁判所やら、近代社会システムを丸ごとぶち込んで開発するしかないかなあと思う。
開発には金が必要なので、「桑名といえば焼きはまぐり」みたいな商品やイメージを作って、グローバル経済システムの中でブランド化して金をあつめる、ということになるか。つまらんが。

4
宇宙開発やプロスポーツのようなものは、男の子の夢というか、ある種の人々のかかえる過剰さをうまく吐き出すための方法なのかな。