#69 小説

サイゾー 【 ハルキスト猛反発中!? 爆笑問題太田光村上春樹叩き”の是非 】
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小説から遠く離れて (河出文庫)

小説から遠く離れて (河出文庫)

村上春樹の小説は、『羊をめぐる冒険』以降、寓話というか箱庭というか、ロールプレイングゲームというか、遊園地というか、異世界を気軽に探検するためのアトラクションになっている。
気分転換。涼しい風。
どうしても現実に押しつぶされそうになったとき、家にも豆があるのに喫茶店までいってコーヒーを頼むことがある。
どこかへ出かけて、空間の質感のちがいを味わうことで、じぶんのもとに情熱がもどってくる。
そういうのが都会の楽しさで、郊外にはそれがない。
ロードサイドにあるスタバにもユニクロにも、ツルツルな質感があるだけだ。
村上春樹の小説は、居心地のよい都会と似ている。
気に入った小説をよんで、言葉の質感のちがいを味わうことで、じぶんのもとにジワリと情熱がもどってくる。
小説は寓話ではなく細部をたのしむものだ、遊園地のように誰が行っても似たような満足感を得られるように整えられたものであってはならない、という理由で彼に批判的なひともいるが、今の小説*1って、ライトノベルやSF、ミステリ、時代小説、海外文学まで含めて、そういうものじゃないかな。
気に入った小説をよんで、言葉の質感のちがいを味わうことで、じぶんのもとにジワリと情熱がもどってくる。
音楽も同じだと思う。
気に入った音楽をきいて、音の質感のちがいを味わうことで、じぶんのもとにジワリと情熱がもどってくる。
マイケル・ジャクソンは1個の遊園地だ。

*1:小説というより、文字で書かれた作り話と言ったほうがいいかもしれない。