#49 意味


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「いつやるか?今でしょ!」の人は、17歳下の女医さんと、名駅タワーマンションに住んでいるらしい。うちの親戚も、北関東のほうの新幹線の駅前のタワーマンションに住んでいる。彼は大学病院の医師で、臓器移植とかやってる。奥さんは東京の広告会社に新幹線通勤している。子供はいない。
2
うちの親戚は、輸入家電やピュアオーディオ、世界のお取り寄せグルメ・ワインなどの好きな人で、GE製の大きな冷蔵庫を冷凍食品でいっぱいにしたり、窓から町の夜景をみながら、グラスを片手に100インチのAQUOSでハリウッド映画を見たり、いなか道をBMWのクーペで通勤したり、そんな気さくな40歳。なんだか味気ない感じがするなあ...
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シミュラークルとシミュレーション (叢書・ウニベルシタス)

シミュラークルとシミュレーション (叢書・ウニベルシタス)

こういう現象について、ジャン・ボードリヤールという人は「シミュラークルとシミュレーション」という言葉を与えた。つまり、彼らはハリウッド映画やテレビドラマのまねをしているだけではないか、それを本当の人生と呼べるのか?と言うのだ。うまく言葉をつかうと、モヤモヤした考えの核心を、こうして一発で射止めてしてしまうから、やはり言葉は強力だ。ここから、ディズニーランドなんてニセモノだ、アメリカ的文明生活なんて...というボヤキにつなげることもできる。しかし、「ちゃんと働いて法律を守り金を稼いでいるのだから、あとのことは個人の勝手さ」と言われてしまえば、たしかにそうだ。ボヤキで終わるのではなく、こちらも理想を掲げたほうがいい。
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彼の人生が単なる模倣と反復で終わったか、それとも、彼なりに意味ある世界をつくりあげたか。その違いかな。