街美女

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テレ玉の「街美女アルバム」って地味な番組がけっこう好きで、もう何年もみてる。埼玉のかわいい20歳くらいの女の子が出てきて、ふじみ野市の喫茶店のパンケーキがうまいとか、八王子のサマーランドで告白されたとか、愛用のピアノとか、小学校の先生の影響で石をあつめているとか。
2
たとえるなら逢沢りなに似た子が部屋のラジカセで Unchained Melody って歌をかけてくれた。その子と東上線の外れのほうの畑と民家のまじった一帯を散策した。「あたしの家まで東京、ここから先は群馬」って言ったような、言わないような...ぜんぶ夢の中のできごとか。
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東上線の外れのほうの畑と民家のまじった一帯を散策して、このごろは図書館を何軒もまわって文芸書を借りているんだって話をきいた。畑、民家、道路、工場、田んぼ、アパート、線路、倉庫...どこまでも同じ風景が続く。何もない感じ。
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家の向かいにあるアパートに独り暮らしのおじさんがいて、なんか私の部屋をのぞいている気がするって話もきいた。...おじさんの想像のなかの世界は沸き立ってどんなことになっちゃっているだろう。
5
もしも私が、あるいは誰かが遠い異国の地へわたって、望郷の念にかられるとしたら、それはたぶん、この何もない感じに関わるのだろう。何もない感じがそこにあるという...