篠原雅武『全-生活論』

全―生活論: 転形期の公共空間

全―生活論: 転形期の公共空間

1
私はかなり怠慢な読者ではあるが...
2
今の社会には「安全な世界」と「破綻した世界」*1があって、前者が後者を食いものにして破壊することによって生存を維持している。2つの世界のあいだには見えない壁があって、前者には退屈、反復、無関心、自己保身が、後者には荒廃、無関心、鬱屈がある。
この非対称な関係は、きっと続かないよ?って話。
マスメディア・官僚制・経済システム...を中心とした「文化産業」(アドルノ)によって覆いかくされた「痛み」に目を向けると、いろいろな現象のうちに同じ構造がみられる。
「安全な世界」と「破綻した世界」を対比すると...
・男に対する女...(フェミニズム
・中央に対する地方...(植民地論)
・富者(正規雇用者)に対する貧者(非正規雇用者)...(マルクス主義理論)
・既婚者に対する独身者...(「もてない男」論)
・人間に対する他の生物...(生態系保全の理論)
3
帰りの地下鉄の駅構内に新作映画の広告が貼ってあった。
【「世界」を壊せ。地球を救うために。】

リビア」を壊せ。アメリカを救うために。
「破綻した世界」を壊せ。安全な世界を救うために。
偶然の符合...

*1:それはおそらく伝統的な「場末」という概念にかかわっている。