放浪と冒険(と観光)

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「ノブナガ」ってテレビの「名古屋・栄の通行人に昨日たべたものをきいて、それを現地へ行って食う」「食ったらそこで通行人に昨日たべたものをきいて、それを現地へ行って食う」...「名古屋名物を3品たべるとクリア」って話をみた。
日本中あちこち回って韓国までゆく小泉エリちゃんかわいかった。
帯広までいって、ライダーズハウスに5年も住んでいる人と話して、これぞ放浪という風だった。
とはいえ、思うに、放浪とは、空間的な移動ではなく、実は観念的なものなんじゃないか?
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放浪は冒険とはちがう。
冒険とは、たとえば、日本中のコンビニでカップ麺くうより、裏庭で摘んだ草から妙な料理を1品つくったほうが冒険的といえる、そのようなもの。
「自分の知る限り前人未到の達成」といったところか。
一方、放浪とは、ずっと前になくした外套をさがして関東平野を放浪する後藤明生『挟み撃ち』って小説...ここでは、不可思議な出来事は特になんも起こらない。
言語・しきたり・風景...がちがうと、当人は自分が放浪していると思いやすい。
それが冒険のはじまりになることもある...かな。
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放浪と冒険は、逆の行動なんじゃないか?
ここに「観光」を入れるとわかりやすくなる。
放浪・冒険・観光のちがい。
放浪は、「目的地がない」。
冒険は、「目的地があり」かつ「未知」。
観光は、「目的地があり」かつ「既知」。
放浪と冒険を、冒険と観光を、観光と放浪を、人はよく混同する。
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よく考えると、これらは、はっきり分けられないように思う。
まずは冒険と観光のちがい、「未知」と「既知」の境目をどこにおくか。「人生初の富士登山」なのか、「自分の知ってる範囲では初めてのアメリカ上陸」なのか、「理論的には実現可能だが本当に行くのは生命として初めての月世界上陸」なのか、「理論的に実現可能かわからないブラックホールへの旅」なのか。
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放浪と冒険のちがいは、たとえば、バックパック旅行は放浪である。というようなこと。
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放浪と観光の違いは、これもまた曖昧で、「既知の目的地をめぐる旅」ってのは、実は「目的地のない旅」と、ほぼ同じなのではないか?