A RETROSPECTIVE EXHIBITION


かなり気に入っていた部屋を引き払い、明日から新しい部屋へうつる。
東京3件目は、風呂も手洗も台所もインターネットも洗濯機もない部屋。
「一度上げた生活レベルは戻せない」と人は言うが、「金で買えるものを減らしても楽しく生きていける」これもまた一理ある。
どちらが正しいか、小さな実験がはじまる。
まぁ、生計を立てる目処が立って、そのときもまだ気持ちが変わらなかったら、いつか今の部屋に戻ってきたいと思いつつ。
これまでの家は、現時点での個人的な理想そのものだった。
2階にある誰もいないカフェテラスで、行き交う人をながめながら、お気に入りのコーヒーを淹れて、のんびりした午後を読書にあてる、という、それはそれは満ち足りた日々・・・が終わる。
とはいえ、新しい家でも「行き交う人をながめる」ことには何よりもこだわった。
梱包作業をしていて、思い出したのは、香水。
好きな人ができると、勇気を出そうとおもって、香水を買っていた。
ずっと昔に手に入れた緑色の香水を見ていたら、フランスのポップソングを思い出した。中学生のころMDに入れて聴いていたのかな。