共同幻想

吉本隆明共同幻想論』が本棚から出てきたので、うれしくなって読んでいる。
駒場にいた3年目、暇で仕方なかったのであてもなく散歩していた、世田谷馬事公苑あたりの茫漠とした午前3時を思い出す。
ゲマインシャフトの中をゆるやかに、というのとは若干ちがうライフコースを踏んできた中で、アウェイでの戦い方には慣れているとはいえ、誰も知らないクラスに毎週放り込まれて誰とも話さないまま1年間生きていくのはさすがにきつくって、ある友人に精神的にずいぶん助けてもらったのだが、彼の家のある梅が丘方面まで下北沢あたりから延々と歩いたことを、思い出したりしている。
いろんな物事が、「対幻想」と「共同幻想」の、どちらの分類に入るのか、あるいは、もはや何の幻想も成立しないところにあるのだろうか?というはなし。

山田 私の以前の大学(学芸大学)には、もともと職業志向が高い女性が来たわけですよ。教員になりたいとか。それがおととしのゼミ生で、将来の志望を順番に聞いていったら、専業主婦になりたいと明らかに言う人が出てきた。

佐々木 先生のゼミで、ですか?

山田 そうですね。ビックリして、「私の授業を聞いてなかったのか?」って言ったわけですよ。そうしたら、「先生の授業を全部出て、Aをもらった」って言うんです。「『今の時代に妻子を養いながら、家を買って、子どもを大学まで出せるような男性というのは1割ぐらいしかいないんだぞ』って言ったろ」とか。あとは、「離婚する確率も3分の1になっているんだぞ」とかって言ったんですよ。すると、「それは全部分かっている、私はその1割の男性と結婚する自信がある」って。
(http://www.ewoman.co.jp/winwin/130)

あ、子供といえば。
大和証券の清田会長が日経で「子供を生んだら毎月1人当たり10万円の補助金を出そう!」という大胆発言をしていて、興味深い。
むろん、札束で頬をひっぱたくようなやり方は、この社会が完全に効率的ではなく、いろんなとこで・いろんなことを我慢しながら不条理に耐えてがんばっている人も沢山いる以上、あぶない面はあるのだが、試案としては、かなりいい線だと思う。
少なくとも、こういうものよりは。
(http://portal.nifty.com/2009/03/24/b/)
あとは、言い散らすだけではなく、メトリカルに肉付けしたレポートが出たら面白いなぁ。