・香港映画。
香港映画の街角
香港映画に惹かれるのはなぜだろう、と考えてみたら、狭い地域を舞台として、寄る辺なさを前提とした、それでいて「濃い」コミュニティの幻影を見せてくれるからだということに、思い当たった。

「香港の特殊性は、元をたどればほとんどの人がここ以外の土地から流れてきた移民だったという点に尽きる。この場所は永遠ではない。土地も国家も信用に値しない。だからここでできるだけ多くのものを早く手に入れ、さっさと逃げていく。その切迫感が香港の混沌を生み、未曾有の活力を生み出し、土地に必要以上の執着を持たないフットワークの軽い香港人気質を形成した。」(野崎歓『香港映画の街角』p.45)

(http://d.hatena.ne.jp/jtsutsui/20090112)
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友人のやっているムサビの卒展に行った、のだが新宿でまごついていたら17時で終わっていた。
その後いろいろ話をした。
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・「五重の排除」
湯浅誠『反貧困』。社会の「溜め」というのは、たしかに重要な視点だ。
反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)

小泉改革」以降の日本社会で顕在化した貧困において、個々の人間が貧困状況に追い込まれるプロセスには5つの排除構造が存在すると主張している。

1.教育課程からの排除
教育関係への公的支出が極端に少ないため、親が貧しいとまともな教育が受けられない。

2.企業福祉からの排除
正規雇用の人々は、正規雇用の人々に与えられている雇用保険社会保険、企業による福利厚生、安定した雇用などから排除されており、容易に貧困状態に滑り落ちてしまう。

3.家族福祉からの排除
低負担・低福祉である日本社会では親族間の相互扶助が、社会的転落を防ぐセーフティーネットとしての重要な役割を果たしているが、貧困状態に陥る人々はもともと頼れる家族・親族がいない(たとえば家族・親族もワーキングプアであるなど)ことが多い。

4.公的福祉からの排除
「ヤミの北九州方式(水際作戦)」に代表されるように、現在の日本では生活保護担当の公務員は、申請者をあれこれ理由を付けて追い返すことばかりに力を入れており、いよいよ追い詰められた状況でも生活保護受給にたどりつけない者が非常に多い。湯浅は現在、生活保護受給資格があるにもかかわらず「水際作戦」などによって生活保護から排除されている人々(漏給と呼ばれる)を600万人から 850万人と見積もっている。

5.自分自身からの排除
上に述べた4つの社会的排除に直面した結果、自分自身の存在価値や将来への希望を見つけられなくなってしまう状態を言う。