#98 読書感想文はなぜつまらんのか?

アイドルの子たちが文庫本の読書感想文をかくというイベントのチラシをもらった。
ぼんやり見ていると、どれも内容がかんたんに予想できて、読書感想文という文章の形式がダメなんじゃないかと思う。
これについて、ちょっと考えてみる。
一般に、何かまとまった文章を読んで、それについて考えたことを書くとき、パッと思いつくところでは...
「1. 文章を要約する」
「2. 気になったところを抜き書きする」
「3. 文章の内容を自分の体験と関連づける(私は幼いころ駆けっこで...)」
「4. 文章の内容を著者の経歴と関連づける(幼いころに母と別れた著者は...)」
「5. 文章の内容を既存のステレオタイプにあてはめる(私はあらためて戦争の悲惨さを...)」
「6. 文章の内容を、そこから連想した別の文章などの芸術作品と比べてみる(この文章と同じように不倫をテーマにした渡辺淳一失楽園』では...)」
「7. 文章の内容を歴史的・社会的なコンテクストにおさめてみる(この文章にあるような冷戦下の社会主義国での庶民の暮らしは...)」
...このくらいかな。
このなかで、プロが書く批評になりうるのは「4」「6」「7」だろう。
あまりにも難解な文章なら「1」でもいい。
それに対して、読書感想文は感想を書かなくてはならないので、使える手法は「3」「5」だけだ。
だから読書感想文はつまらんということか。