#89 技術

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高専はすごいのでぜひ行ったほうがいい 】
http://kur.jp/2013/08/06/kosen-sugoi/

このような、専門性をみがいて熱くなっているエンジニアについて、人はよく「オタク」「視野狭窄」「秀才」というようなステレオタイプを貼るが、私はそれについて違和感があり、それが何なのか今日はっきりした。
現代日本において、工業技術はマスカルチャーなのだ。*1
事実、彼らは、個人的な趣味として、マスカルチャーにはまる人が多いとみられる。
工業技術とマスカルチャーのあいだに何か共通する感じがあるのだろう。

2

森一郎 ハイデッガー『技術への問い』の書評 】
http://booklog.kinokuniya.co.jp/mori/archives/2009/10/m.html

要するに「技術は人々や自然を資源として掘り出して総動員して、何の意味があるかようわからん生産とか開発を全力でやろうとする。だから、たとえば資本主義とか社会主義とかファシズムとか、政治体制をどう変えても、技術というものの活動を止めないかぎり、同じことが起きる」という話かな。
ハイデガーという人はナチスドイツに加担したとして後半生かなり煙たい目で見られた人だが、「ファシズム社会主義も資本主義も、結局、技術の前では同じ」という発言は、なんともすごいし、たしかにそうだ。
ナチスドイツが同時代の他の帝国主義国とちがって非道である理由は、ユダヤ人たちの組織的虐殺という1点にある。
ハイデガーが批判されるとしたら、彼の全発言に対してではなく、この点に対して彼が何を言ったかということに関わるだろう。

3
工業技術とマスカルチャーのあいだに共通する感じとは何か?
マスカルチャーは、「やる人が多く、見る人も多い」文化現象だが、この領域で優れているとされる基準は、勢いと人気がどれだけあるか、であり、それは現代日本における工業技術も同じであった。
やっぱりね!

*1:【 2013-08-07 文化現象の4類型 】 http://d.hatena.ne.jp/soraniukabuniji/20130807