#82 最新流行

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ファッションフード、あります。: はやりの食べ物クロニクル1970-2010

ファッションフード、あります。: はやりの食べ物クロニクル1970-2010

畑中三応子『ファッションフード、あります。はやりの食べ物クロニクル 1970-2010 』って本がとってもおもしろかった。
高度成長で現代日本がそれなりに豊かになって、食い物が記号消費のためのファッションになってからの通史。
「この種の食い物の始まりはここにあったのか!」って驚きがいっぱい。
そろそろ終わりつつあるようだが、毎日が遊園地のなかにいる夢のような時代があったという証言。
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甲斐みのりという人の観光ガイドみたいなものが堪えがたい。
いろんな場所や人々をとりまく感情的なもつれとか歴史的な陰影のようなものを消し去って、すべてを均質にならべて「すっきり」「ほっこり」してしまうことに、強制的に爪を剥がれるような恐怖がある。
これは、江戸嫌いにも通じるのだが。
見立番付のようなものね。
庶民的であり、ファッショナブルであり、幕の内弁当であり、ものすごい速さで刻々と移り変わるものであり...
結局、そこには退屈しのぎにあつらえられた微細な差異のほかに何もなかったりする。