#42 Harmony



1
共感をもとにした人々の集まりは、端からみてサムい。
評価をもとにした人々の集まりは、端からみてキツい。
前者はたとえば、フジテレビの女子アナと男子アナの結婚式のようなもの。サムすぎる。
後者はたとえば、スク水アイドルBiSのようなもの。あるいは、雑誌グラビアで颯爽とデビューした新潟県柏崎の女子高生アイドルが人気をうしなって裏ビデオにまわるようなもの。キツすぎる。
2
こういう、「あれはサムい」「あれはキツい」って社会生活のなかで思うことと、音楽の好みのあいだには、なんらかの関係があるだろう。
BiSみたいな非常にノイジーな流行歌を好む人々は、日頃なんかに対して「キツい」と思っていて、それに対して無感覚になりたいのだろう。ごはんにタバスコをぶっかけるように。
一方、オーケストラや吹奏楽部や合唱団で演奏するお嬢ちゃんたちのように、調性のととのった音をみんなで奏でることが好きな人は、この社会の伝統に忠実でありたいのだろう。それは江戸時代からつづく「共感する身体」のようなものに根ざしている。
端から見てサムいと思うようなことでも、夢中になって取り組めば、じっとり濡れるような快感が味わえるかもしれない。それがまさしく「サムい」ということに対する無感覚か。こう書いてみると意外ときもちよさそうだ。