#15 青梅

1
地名だけをたよりに、知らないところへいってみたい。
「青梅」という文字の形とか、「秩父」とか。なんだか魅力的だ。
2
今はインターネットができたので、こういうことについて、先回りしていろいろ調べてしまうことは、実はとっても簡単だ。
噂話をみっちりあたまに塗りこんで、人はすぐに情報通・耳年増になることができる。
ネットを見たり、テレビを見たり、寸暇を惜しんで、人々はこの作業をやっている。
「これが答えだ」と大きな声をはりあげる話し方が、巷にあふれている。
しかし、そこに変な感じがある。
3
そうやってあつめた情報は、平板というか一面的というか、画一的というか反復的というか。
たとえばWikiで任意の地名をさがすと、そこには、「人口」「地形」「経済」...といった具合に、あらゆる場所の情報が、同じルールで分類された項目の集合として、記されている。
基本的に、人はものをなかなか忘れられないから、最初にWikiでみっちり調べてしまうと、ふと気づくと自分が誰かにWikiみたいな言い方で話してしまって、後でぎょっとする。
こういうカップラーメンみたいな宇宙食みたいなのにハマることが多いなあと思った。
4
考えることと知識を並べることのちがい。
http://seijigaku.seesaa.net/s/
たとえば、こんなふうに。
彼は知識を並べているだけだ。