流れてゆく


みんな一体どんなシステムで感情をコントロールしてるんだ?
っていう、このうたの歌詞。
山本直樹を読んで、ハッカ飴をなめて、だらっとした日を過ごす。
いつもどおりの。
津波があって、放射能汚染があって、死刑判決があって。
伝染病があって、戦争があって。
それから。

金の話があって、病の話があって。
見知らぬ人に金を贈る匿名の善意があって。
人々を病から救う英雄的な活躍があって。
これから頑張って誰かの役に立つ人になってください。
なんてことを教師が言う。
なんという健気であさましい時代ですこと。
無数にはりめぐらされた綱をそれぞれ思いきり引っ張って、ゆっくりと、ねじが巻かれてゆく。

この世界に、わざわざ生きるほどの意味なんてあんのかな?
話の合う人と楽しく過ごすのは好きだけど、自分と話の合う人なんてのは、現代には、ほとんどいないし。
とりあえず金の話があって、彼氏彼女の話があって(これはよく考えると金の話と同じ)、病の話があって、あるいは固有名詞を暗号のように呼び合う話があって、適当に相槌を打っていれば会話になるから、気が滅入る。
「君とは本格的に分かり合えたような気がするよ」なんてことを言ってくるやつに限って、すぐ離れていく。10代前半からずっと同じ。無意味な繰り返し。
しかし、死は怖い。
浮遊する死体。モノでしかなくなった身体。
偶然にも、黒い白鳥に襲われなかった。
だから生きてる、それだけなんだろう。