青猫

このごろ本を買う量も減ったし、なんだか自分が鈍くなってきたような気がする。
永い時間にわたって正座をしたあと痺れるような感じが、知覚すべてにじーんと沁みてる。ホワイトノイズ?
広告都市からネットから、入ってくる情報の量が増えすぎて何も追えなくなったのか、それとも知覚のアンテナがぽきりと折れてしまったのか。
今夜は劇場でバレエのシンデレラを見たけど、ぜーんぜん面白くなかった。
ダンサーのカラダの動きが組み合って作られた動きの中に、幾何学的構造を見ること。
その不安定な構造が辛うじて出現することを言祝ぐこと。
人間離れしたスムーズな動きを生み出した鍛錬の過程に畏怖の念をいだくこと。
はらはらさせる曲芸を見ること。
野うさぎの走り。とでも呼ぶような動きが良かったけれど、それはもう、これまで至るところで散々語られてきたことで、格別あたらしい気持にはなれなかった。
ううん。
思考による面白体験がこれ以上のぞめないなら、麻酔によるエクスタシィを試みることになるのだろうか。
わからないけど、萩原朔太郎を読んでいる。
たぶん、求めているのは、数学的な冷たくて硬いヴィジョンか、相対化も類型化もしないままどんどん膨れ上がる一方的な思い込みとか。
言葉や音のカケラ。
確信に満ちたもの。