CIBICCOさん。

「机に突っ伏して寝てる奴にありがちなこと」
http://bit.ly/a3JHqL

部屋にある古い本を、少しずつ読み返していると初めて手に取ったときの感覚がよびさまされて、たのしい。たとえば、蓮實重彦『表層批評宣言』とか。高校の授業中に読んだ。実はもっといい名古屋の私立に行きたかったのだが、交通の便とか家の都合とかあって、その辺の公立に入学したけど誰も友達ができなかった。初日から、同級生は憧れの高校に合格した誇らしさに満ちていたけど、自分は妥協の結果ここにいますって気分で、入っても特にしたいこともなかった。弓をひきたいと思ってたけどアーチェリーしかなくて、練習を見にいったけど、野暮ったいからやめた。これって機械のほうが上手にできることだよね?なんか真面目くさってあほらし。って、大会出場のために頑張ってた人からしたら失礼な物言いだけど。今かんがえると自分から人を巻き込んで、もっと楽しいことしたほうがよかった。おもしろい学園物のラブコメとかアニメとか梱包して送ってやりたい。たとえば、同人誌をコミケに売りにいく文芸部。温泉卓球部。オカルト研究会。タイ古式マッサージ部。涼宮ハルヒに巻き込まれてなんかみんなで色々する部。ボンボン坂高校演劇部、桜蘭高校ホスト部。図書室で星空の図鑑を見ている女の子と話したらなんか盛り上がって2人だけで結成した天文部。桜ヶ丘高校けいおん部。のようなもの、やりたかったなあ。ほぼ元ネタあるけど。とはいえ誰も乗ってくれなかった気もする。だって村上春樹も知らずに文学部に入るような学生ばっかりだったから。テクノキャピタリズムとバカ祭り以外に価値観のない、吹きっさらしの土地で、学校秀才ばっかり集めたら、知的な多様性のすごく乏しい集団ができました。って説明が正しいのかな。この「勇壮」な祭りが心底きらいで、まぁ地元の村祭りレベルなら参加したし、ラッパくらい吹けるけど、市内のやつらとかまじうざいので、その期間は毎年、ひとりで京都旅行してた。(って言うと、たぶん地元の友人が半分くらい減るけど。そもそも数人しかいないが。)

だからふだん学校に行くと、着いた瞬間から昼休みまで、あとは午後の授業開始から放課まで、基本ずっと机に突っ伏して寝ているって感じだった。全部寝た日は「特急」、あと急行、快速とか用語作ったりして。MDウォークマンを学ランのポケットに忍ばせて、布地の内側をつたって手首までイヤホンコードを延ばして、ドビュッシーとかメンデルスゾーンの音量を最大にして、前に見た映画や知らない景色を思い浮かべて。

とはいえ寒い季節は足とか手とか冷え切ってるから突っ伏してもぜんぜん眠れないんだよね。冷暖房がなかった。英語の訳とか数学の宿題とか当たっても予習もしてないし授業も聞いてないしそもそも教科書買ってなかったりするからわかんなくて、廊下に立ってろって言われるとそのまま出てって街を散歩したり。駅前の展望塔が好きだった。しかも途中からクラス内でのポジションが悪化して、いじめられるようになって、学校ある前の日は緊張して眠れないことが多くなって、だからいつも体調がわるくて、とてもじゃないけど数学とか哲学する気分でもなく。頭と腹が毎日いたかった。
昼休みになると、教室はクラスの中心メンバーが大きな声で話しはじめて鬱陶しいから出ていって、しかし部室は部活の中心メンバーで埋まっていて、コーヒーメーカー持ち込んでからしばらくは楽しく過ごしていたけど、やっぱけっこう気味悪がられていたから居場所ないし、屋上とか屋外はカップルの巣窟みたいな感じで、結局別棟の図書館の入口の扉の陰に隠れて焼きそばパンとか食ってたけど、あるカップルがこっちから見えるけど向こうからは見えないところに陣取ってからは、覗き趣味もないから居づらくなって、後半はたいがい外へ食いに出ていた。梅香苑の白湯麺うまかったなあ。しかし一度だけ、ある日めしを食ってたら社会の教師と教頭が中学教師たちを引き連れて接待してるとこに遭遇して、中学教師がなんか言ったらしく、退学勧告をくらったことがある。まぁ、地元で就職とか商売しない限り、あんな高校の名前なんて、どうでもいいのだが。どうせ自分は二度と戻らないし。
普段のばあい、食い終わって店にある週刊誌ひととおり読んで、鹿谷町のホテル街の坂を下りて、B'zとバンプオプチキンが好きで祝日は一緒に横浜アリーナあたりにライブ観に行ったりしてる同級生カップルとか、社会人の彼氏がいてBMWで校門まで迎えにきてくれる雑誌の読モの子とか、使ってるやつらもいたけど自分には関係ないから、帰り道にあるビデオ販売店を軽くのぞいて、駅から家。みたいなかんじ。小沢菜穂とか美竹涼子とか、まじよかった。家に誰もいなかったのと、学校と地元に情報の断絶があったこと、俺がいじめられてるってばれなかったのはよかった。地元の図書館にたまってる友人たちとは普通に会っていて、たばこの自販機にあるもの全部買って品評会なんかして、酒飲んで肝臓こわしたりして、楽しかったけど頽廃的だった。
ま、なるたけ力を抜いて生きていたい。