海のもずく


たとえば、日本のどこかの外海に面した港町に、「座礁くじら」が打ち上げられたとして。
人は、わっと騒ぐ。
たとえば、同じ港町から、「若い女性」が消えたとして。
人は、もっと騒ぐ。たぶん。
しかし、個人的な感覚として、後の場合、そっとしておいたほうがいい気がする。なぜだろう?
・・・
座礁くじら」と「若い女性」の違いは、当事者と野次馬が同じ「社会」*1に属しているか否か、ということ。
・・・
秘匿された情報をばらしてしまう者。
情報の流れを変えること。
それは、劇的な、ときに思わぬ外部効果をもたらす。
「おまいさん責任とれるのかい?」*2なんて言葉は、強権的にきこえるけど、「社会」という制度の中で「個人」として振舞うというのは、そういうこと。

*1:ここでの「社会」は、「噂話の届く範囲」というくらいに、曖昧に定義しておく。

*2:「責任をとる」とは、ある行動がさまざまな効果をもたらすことについて、その行動を「個人が決定したもの」として、「発生した全ての効果について、その個人を原因としてみなすことを認める」ということ。たぶん「自由」の対義語などではない。