不思議

そう。
不謹慎な俺は待合室で暇だから、屋上庭園に出てタバコ吸いながら行きがけに八重洲で買ったレイ・ブラッドベリを次々と読んでいたのだが。
「火星は私たちの宿命だ。月に戻って基地を建設し、火星に行って文化を根付かせ火星人にならなければならない」
記憶の扉がひらくとき。
昔けっこう仲の良かった人に、もっかいだけでいいから葛西臨海公園に連れてってほしい。って思うとき。
「観覧車に乗ってみようよ」って言ってほしい・・・あのひとは高所恐怖症だった。
・・・個人的な「聖地」って、こうやって出来ていくのだろう。
あのひとの希望に釣り合うほどの存在には、結局なれなかったという、ほのかな後ろめたさとともに。