国体。


動員、という現象に心の底から嫌悪感を抱くようになったきっかけって、思うに、高校生のとき出身県に「国体」がやって来たことだったと思う。
運動部に所属する同級生が、男の子も女の子もみんな誇らしい顔をして公休を取って、応援や手伝いに行っていた。
この大会のために造られた意匠や標語や自動車専用道路など、すべてが不恰好でナンセンスに思われて、あぁ、こういうものを喜ぶ人々がいて、そんな人たちを中心にこの社会はまわっているんだなって、そんなことを思ったとき、決定的に何かが炸裂した。
あれを機に3ヶ月くらい引きこもりをして、その後、社会復帰が難しい状態で、現在に至っている。
今さら、どうやって社会復帰をしろって言うんだい?
その頃はひたすら暇だったけれど近所の目もあって普通の時間には外出できなかったので、夕暮れから起き出して図書館へ這っていって、夜な夜な読んだリオタールやドゥルーズ中上健次の16歳時点での印象について、あたらしく知ったことのようには話せないな。