ハナレバナレ


小学校からの親友が次の春から地元の市役所で働くことになった。
10代のころ通っていた映画館(ミニシアター!)と喫茶店(カフェ!)のありかをおしえてみた。
放っておいたら、きっとあと数年で角のとれた詰まらない人になる*1から、話のわかる今のうちに案内しておこうと思った。あの町で過ごしてきた日々が実在したかどうかについて、依りどころになるのは、実は同じ時間をともにした人の言葉のなかにしかないような気がしたから。彼が変わってしまうと、本当にそこで生きてきたのかわからなくなる。
別の親友だった人が数年前から老人病院ではたらくようになって、いつの間にか話すことがなくなってしまった。中学のときいつも放課後、日が暮れるまで公園で並んで話し込んでた。たとえるなら「さまぁ〜ず」みたいな、少しひねた笑いがあって、ゆるくて楽しい時間があったのだ。
どんどん季節は流れて。

*1:元々たいした夢もなかったのに、若い頃の夢をそのまま追いつづけていたら俺はきっとあのようになった!と同時代のメディア環境のなかで目立っている誰かを名指ししながら、それでも安定した身分を選んだ自分の境遇をかえりみて満ち足りた気分にひたる。「役所の仕事なんかちょろいから空いた時間でカメラやるんだ」って言ってるあたりもう、あと2年で愚鈍ないなかのおっさんになるのが目に見えている。