好きな建物


新宿ジュンクに行って、近現代世界の有名建築の写真集を、置いてあるやつ全部みてきた。建築史的常識を無視して好きな作家を並べてみる。分類のキーワードは3つ。

1.すっきり
合理的で構造主義的なミース、コルビュジェ、ニーマイヤーは、時々でかすぎるけど、すっきりして好き。確率論的な偶然性(複雑系とかカオス)を構成に取り入れている(ように見えるだけ。実際よくわかんないかも)ザハ・ハディド(ローマの21世紀美術館とか。あとこの人は「女性」「アラビア人」という建築家には珍しいアイデンティティを持っている。それを単純な記号として考えたらあさましいけど、「偶然に生まれるアルゴリズム」は現代世界の最重要概念なんじゃないかと個人的には思っているし、この人はとても偉大な人なんじゃないかって気がする。ひとまずエッセイを読みたい)もこの系譜に入るのかな。何らかの観念を幾何学的な3次元図形に変換する人たち。こういう作りの建物に入ると、なにか奇妙な図形のなかを動いているような気になるんじゃないかな。

2.あたたかい
レンガや木(白木じゃなくて塗ってあるやつ)や自然の色(熱帯なら原色の花の色、雪国なら白)など、人がなつかしいと思うような質感や色をもつ材料を人の暮らしにあった大きさに収めると、あたたかくて過ごしやすい場所ができる。家とか。フランク・ロイド・ライト。ルイス・バラガン。あとアルヴァ・アアルトヘルシンキに行くと英雄扱いされているらしい。エッセイを読む)。

3.クール
既存の造形や材料や色のなかから、敷地に最適なものを選んで組み合わせる人たち。外から見た形も中からみた細部も、その建物が「今ここにあること」の意味を強く感じさせる。建築様式史だけじゃなくて、都市の歴史とか人間の知覚の歴史とか、すごい調べて作ってんだろうな。コールハース、ジャン・ヌーベル、レンゾ・ピアノコルビュジェも西欧にある建物は半ばこちらか。
あと、このカテゴリーでは上海の建築が意外とおもしろい。明代くらいまで東洋の中心だった中国人のつくった史上最大の海上都市というところに世界史的な運命があるということなのだろう。

何か大切なことがそこにあって、それを考えたいと思っているけど、論理的思考力がたりないので、数学や論理学や分析哲学の本を直接よんで考えをまとめるのは無理っぽいことがわかった。まずは、こういう表面的な具体的なことから始める。