自動人形


最近、生き物に興味を持つようになって、進化生物学とか生態学とかの本を読んでる。
そういったジャンルでおもしろい本を探していると、栄養士になるためのテキストやら看護師になるためのテキストやら薬剤師になるためのテキストやら、「手に職」と言われるものの職業訓練のためのいろんな教材が出てくる。
書いてあることは大体同じで、人体についての生理学と解剖学と生化学の話が中心。あとは統計学かな。記述の詳しさにちがいはあるけれど。
そういう本がまたおもしろくないのだ。
保育士になるためのテキストも教師になるためのテキストも大体同じ。教育学と発達心理学なんていう曖昧なものを、後生大事にかかえてる。
これ言ってることあやしくね!?とか思わないのだろうか。
まぁ、人々はこういうものを丸呑みして職業人になっていくのだろう。
職業人になれば、たとえば毎日幼稚園児の給食を作っていればよくて、決められた手順どおりに作業をすすめていけば、時間が過ぎて金が入って人生は続いていく。
手順を考えたり疑ったり、そういうのは一部の専門家がやっている。ということになっている。
誰もやってないジャンルも、たぶん多いけどね。
単に、ある人がその役職に座っているだけというパターン。何もしていない。
たとえば、田舎の教師とかそういった人々になると、歴史の研究を放棄している歴史教師のような人がほとんどだろう。
そういう人は、ただもうぼんやりと暮らしてる。
自分の習った高校の歴史の教師は、生徒に教科書を音読させることと、寝ている生徒にチョークをぶつけること、仕事はこれだけだった。
多くの人は、社会の中で自分の位置づけが決まったとたん、何の質問もなくなって、ただの自動人形になるわけだ。
振り子のように定められた動きを繰り返す精巧な自動人形。壊れるまでずっと。
なんか、切ないね。*1

*1:ここに至ると、突如として宗教というものが顔を出す