午睡

ぼやっとした春の日。なだらかな丘陵地。西馬込の桜並木道。永遠に続くような黄昏の時間・・・

関西人なのに特におもろいこと言わないお兄さんに連れられ、環七通りの下の気の抜けた商店街を抜け、住宅街に入ったところに、白と黒のぶち猫が1匹あるいていて、何よりも印象的だったのが、毛並みのつやつやだったこと。つやつやだった。
並木道を馬車に揺られているとき、何かうつくしい幻像をそこに見たような気持ちになった。
脊髄反射のような笑い。叫び。涙。後味・・・ではないもの。そこに物語のはじまりがある。