福永武彦『海市』

海市 (1968年)

海市 (1968年)

漢詩はあまり知らないけれど、蘇軾の詩は好き。

東方雲海空復空
群仙出没空明中
蕩搖浮世生萬象
豈有貝闕藏珠宮
心知所見皆幻影
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−蘇軾「海市」

伊豆の小さな海辺の村にて、ある画家が女と知り合うが、彼女は本当は・・・という話。幻想的な都市の話かとおもった。
話の筋は平凡であり、さして目新しい設定もなく、ゆったりした小説だから埋もれてしまいそうなのだが、「昭和43年」と書かれた奥付を見たとき、小さなときめきをおぼえた。