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・三遊亭萌太。
落語を本格的に聴こうと思って「東京かわら版」を調べたら、面白そうな高座を網羅的に追っかけた場合、毎晩の予定が文字通り埋まることがわかった。
ここ5年ほどほぼ毎晩落語に出かけている、という著者(本業は音楽批評だという)によるガイドブック。
しかも、志ん生や志ん朝の図書館にあるような映像/音声資料をすすめるのではなく、古典落語の演目紹介でページ数を稼ぐのでもなく、「寄席はつまらない、しかし・・・」という前提から論を立てているので、何度か寄席に出かけてあまりの退屈さに諦めてしまった僕のようななまくら者にも、手っ取り早く概要がつかめる。
前口上:「現在進行形」の落語を聴こう!
第1章 この落語家を聴け!
1:20世紀から21世紀へ
2:談志と小三治
(1)立川談志―神様が降りてくる落語家
(2)柳家小三治―人間という存在の“かわいさ”
3:立川流4天王
(1)談志の遺伝子を継ぐ4人の落語家
(2)立川志の輔―人生の総てを描く「志の輔らくご」
(3)立川談春―進化を止めない「平成の名人」
(4)立川志らく―「現代的古典落語」の革命児
(5)立川談笑―「過激な大衆芸能」を復活させる男
4:いま、観ておきたい噺家達
(1)面白い落語家が増えてきた!
(2)柳亭市馬―保守本流が生んだ最強の「本格派」
(3)柳家喬太郎―本寸法と逸脱が共存する特殊落語家
(4)古今亭志ん輔―志ん朝の遺伝子を継ぐ古今亭の代表格
(5)柳家喜多八―虚弱体質でもハイパー・テンション!
(6)橘家文左衛門―豪快かつ繊細な寄席の注目株
(7)三遊亭白鳥―落語界の極北で暴れる異能の噺家
(8)林家彦いち―世間の面白事を喋り倒す落語界の武闘派
(9)桃月庵白酒―端正な語り口から飛び出すブッとび爆笑噺
(10)柳家三三―老成した話芸を誇る若手本格派のホープ
(11)三遊亭歌武蔵―重量級の元力士が語る軽妙な爆笑落語
(12)瀧川鯉昇―普通じゃない「フラ」が楽しい芸協の注目株
(13)古今亭菊之丞―抜群の色気を持つ古風な若手真打
(14)入船亭扇辰―抜きん出た演技力が光る魅力的な若手真打
(15)柳家一琴―これからが楽しみな若手実力派
(16)橘家圓太郎と五明楼玉の輔―期待の小朝の弟子2人
(17)その他の「いま、観ておきたい噺家達」第2章 21世紀の落語家
1:21世紀の人気者達
(1)春風亭昇太―新作の革命児は古典こそが面白い!
(2)林家たい平―「林家なのに本格派」なセンス抜群の真打
(3)春風亭小朝―21世紀落語最大のプロデューサー
(4)柳家花緑―「普通な」時こそ光る落語界のサラブレッド
(5)笑福亭鶴瓶―古典落語に開眼した最大の人気タレント2:21世紀の寄席
(1)寄席は噺家目当てで行こう
(2)柳家さん喬―古典落語の真髄を語る正統派の雄
(3)柳家権太楼―寄席を沸かせるパワフルな爆笑王
(4)入船亭扇遊―控えめな個性が魅力の素敵な噺家
(5)その他の寄席の噺家達3:立川流と円楽党
(1)立川流の落語家達
(2)円楽党の落語家達終章:落語は「今が旬」なエンターテインメント